年を重ねると、転倒・骨折のリスクが非常に上がります。まだ、自分は大丈夫だと思っていても気がつかない内に、筋力低下と骨密度の低下は避けられません。
今回はシニアが気をつける骨折・転倒について詳しく紹介していきます。
介護を受ける理由上位の「骨折・転倒」とは

実は骨折・転倒により介護を必要となる人の割合は多いことが分かっています。厚生労働省が実施した国民生活基準帳(平成28年)だと65歳以上の女性で介護を必要とした理由15.2%が「骨折・転倒」が理由と答えています。
男性は少し低く7.1%にとどまっていますが、それでも要介護を必要となる骨折・転倒はシニアが気をつける健康問題の代表的なものと言えます。
女性だと
- 1位:認知症
- 2位:高齢による衰弱
- 3位:骨折・転倒
- 4位:関節疾患
という順位で、実は要介護になる原因の3位が骨折・転倒ということが分かります。
これが、男性だと4位です。男女ともに骨折・転倒は健康寿命を短くする原因であることが分かります。
- 1位:脳血管疾患(脳卒中)
- 2位:認知症
- 3位:高齢による衰弱
- 4位:骨折:転倒
骨折・転倒の原因は?
骨折・転倒の原因はいくつかありますが、以下の様なことが考えられます。大きく分けると加齢による筋肉・骨密度の低下と、病気や健康問題によっての2つの原因があります。
- 筋力の低下(加齢)
- 骨密度の低下(加齢)
- 栄養不足(低栄養によって)
- 運動・栄養不足(フレイル、ロコモ、サルコペニアなど)
年を重ねれば誰でも筋力の低下と骨密度の低下は起こりえます。しかし、体を動かしていても体を作る栄養素が足りていなければ、骨折・転倒のリスクは上がります。
また、低栄養が起きることで、筋肉や骨を作る栄養素が足りなくなり、虚弱大切になるばかりか、サルコペニアやロコモなど深刻な病気へと発展してしまう可能性が高いです。
下の画像は低栄養による悪循環雄が起きる画像です。ひどくなると、骨折・転倒・寝たきりまであり得ます。

筋肉は40代から劇的に衰える
高齢者は一度寝たきりになってしまうと、再び立ち上がることは容易ではありません。運動機能の低下はもちろん、内蔵機能の障害、泌尿器から皮膚の床ずれまで生じます。
そして、特に筋肉の低下が顕著なのは脚の筋肉です。
中でも膝を伸ばしたり、太ももを前に上げたりする太もも全面の筋肉は40代から一気に落ち始めます。また、腹部の筋肉も衰えが速いので、筋肉の代わりに脂肪が増えていき、背中が丸くなってしまうことも。
何も筋トレや対策をしないでいると、転倒・骨折のリスクは上がってしまいます。

70代は20代に比べて、歩くための必要な筋肉が60%以下になっています。それほど年を重ねると筋力が落ちてしまいます。
骨折・転倒も筋肉量と骨密度が関係しています。健康寿命を延ばすためには筋肉をつけて食事に気をつける必要が出てきます。
転倒・骨折リスクチェック(ロコモチェック)
ロコモティブシンドロームという病気があります。これは、筋肉を動かさない内に筋肉や関節が滑らかに動かなくなる状態のことです。
骨や関節、筋肉など体を動かしたり、支えたりする運動機能が低下して、要介護・寝たきり・骨折・転倒になる可能性が高い状態と言えます。
ちなみに、ロコモチェックは以下の7項目
- 片足立で靴下がはけない
- 家の中でつまずいたり、滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要
- 横断歩道を青信号で渡り切れない
- 15分くらい続けて歩けない
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
- 家の中のやや重い仕事が困難
このチェック項目の内、1つでも当てはまるとロコモティブシンドロームの疑いがあります。
対策をしないでいると、このまま筋肉の老化がどんどん進み、骨折・転倒のリスクが非常に上がります。
転倒・骨折の対策
ロコモティブシンドロームのチェックがある方も今から少しずつ対策をしていけば問題ありません。まずは毎日少しずつ以下で紹介する対策法を実践して下ださい。
バランスよく食事をする
転倒・骨折と切り離せない問題に低栄養の問題があることは紹介しました。特に年を重ねたら、粗食は辞め、バランスの良い食事を心掛けて下さい。
栄養が足りず、体を動かすエネルギーが足りないと、活動量がどんどん落ちていきます。
また、カルシウムとビタミンDを意識的に取ることで骨を強くすることが出来ます。
ビタミンDはカルシウムを上手に骨に運んでくれる効果があるのでカルシウムと併せて取りましょう。
食事は肉・魚・野菜をまんべんなく摂取しましょう。高齢になると硬い物やよく噛むものを好まなく傾向がありますので、積極的に肉類を取るようにしましょう。元気な70代の方は良く、肉類を食べ活発に動き回っています。
毎日の散歩は日課にする
40代から足の筋肉が落ちていくことは説明しました。歩くことは全身運動で、足だけではなく背中、お腹の筋肉まで鍛えられます。
元気な高齢者を見ていると外に出ている頻度が高いです。外に出れば歩く、座って立つという動作が増えるので日々の生活習慣で筋肉を使うからです。
毎日20分でもウォーキングや散歩に時間を使って、足腰を鍛えるようにしましょう。
太陽の光を浴びて骨粗しょう症予防も
骨がスカスカになって構造的にもろくなり骨折しやすくなる疾患で、圧倒的に女性が多いのが特徴です。
実はビタミンDは日光に当たることで体内で作ることが出来るので、毎日の散歩は骨折・転倒対策として非常に重要なのです。
ですので、食事と運動(散歩やウォーキング)は骨折・転倒対策だけではなく、骨粗しょう症予防にもなるのです。
適度な筋トレ
筋トレは転倒・骨折対策に非常に重要です。上の動画はシニアの筋トレを紹介しています。ふくらはぎ、太もも、お腹の筋肉のつけ方を紹介していて、非常に参考になります。
この運動を毎日は難しいかもしれませんが、週に2回でも行えば少しずつ体が変わってくるのが分かりますよ。
筋トレ初心者はまずは関節回しから
88歳のタキミカさんが紹介している、関節まわし。
いきなりの筋トレが怖い人や、運動をしてきていない人は関節まわしから初めて下さい。関節を柔らかくするだけ体をスムーズに動かせるようになります。
まとめ:食事と運動で転倒・骨折リスクを下げよう

食事はバランスよくとりましょう。
食べづらくても肉や魚や野菜、そして炭水化物もしっかりとることが大切です。
健康寿命を延ばす方法の記事でも紹介しましたが、食事は健康に関わってくる重要な要素です。そして、70代を過ぎても元気な人は食に気を遣っている傾向にあります。
しかし、食事だけでは、転倒・骨折リスクを下げることは出来ません。運動とセットにすることで健康寿命を延ばすことが可能です。