介護の現場や体調が悪い時にお世話になる流動食。
流動食を検討している人の疑問は「流動食って美味しいの?」や「そもそも栄養ってあるの?」や「流動食って食べても太らない?やせる?どっち?」と思い、この記事に辿り着いたはずです。
そこで今回は流動食の「栄養」と「食べることで太るのか痩せるのか」の疑問を解決していこうと思います。
流動食とは?介護食との比較
まず基本的な所を抑えておきます。
というのも、流動食を検討している人の話を聞いてみると「実は検討しているのは介護食だった」ということが多くあります。
流動食、介護食は似ていて、食べやすさや美味しさを求めるなら介護食に軍配があがります。
求めている物が「流動食なのか介護食なのか」を知るために違いを知っておくことは大切です。
流動食とは
重湯(おもゆ)・葛湯(くずゆ)・牛乳・スープなどの流動性食物。
消化しやすいので、病人食、離乳食、介護食として用いる。
重症胃腸疾患にも使用されている
― 広辞苑
流動食は消化しやすい流動性の食べ物を指し、様々な現場で使用されています。
医療現場では野菜スープなどの液体状の食事が「普通流動食」。食事だけでは必要な栄養が摂取できない場合の栄養に配慮した「濃厚流動食」と分けられています。
普通流動食は水分は補給できますが栄養補給としては不十分です。
栄養素も併せて摂取したい場合濃厚流動食を使い、できるだけ早く普通の食事を摂れるように目指します。
なお、口から流動食を摂取することが難しい場合は、胃ろう、腸ろうなどチューブを使います。
流動食に比べ介護食の定義は以下の通りです。
介護食とは
咀嚼 (そしゃく) や嚥下 (えんげ) が困難な人のために、食物を摂取しやすく調整した食事。
流動体やペースト状にしたものや、とろみをつけたりゼリー状にしたものなど。
介護の現場で多く利用されるが、病人食としても利用されている。
― 広辞苑
介護食も流動体の食べ物があり、流動食と介護食はほぼ同じものです。
介護食の場合、まだ具材が残っている物~ペースト状のものまで種類があります。
介護食はその人の「噛む力・飲み込む力」ごとに分類がされていて、医療現場で言う「普通流動食」は介護食の区分「かまなくてよい」に相当するでしょう。
> 介護食・流動食の選び方!自分の「噛む力・飲み込む力」の調べ方
流動食・介護食のエネルギーや栄養
流動食のカロリーや栄養素を見ていきましょう。
明治が販売している流動食のメイバランス1.0、1.5では以下の様な数字です。
栄養素もしっかりとれる「濃厚流動食」です。
※メイバランスは栄養補助食品もあるので注意が必要です。

共に1食100g。1食でかなりエネルギーを摂取できるは素晴らしいです。
また、上記の他にもビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
流動食に比べ、介護食はエネルギーや栄養素が多く含まれていません。
介護食の強みは、より一般的な食事の形態に近いのが介護食で、例えばカツ丼風、牛すきやき丼風、煮物などがあります。
介護食の「容易にかめる」区分の白身魚だんごの寄せ鍋の栄養素は以下のようになっています。
介護食の中では一番一般食に近いので、あくまでも栄養素の参考だと思ってください。

「濃厚流動食」に比べ、エネルギーも栄養素も少ないことが分かります。
しかし、色々な種類が介護食にはあるので、流動食を検討する場合は、「かまなくてもよい」介護食も視野にいれるといいでしょう。
流動食は太るのか?やせるのか?

流動食をメインで摂取している人はやせていく傾向にあります。
その理由はいくつかありますが、流動食をメインで摂取しても推奨摂取量に対してエネルギーとカロリーが少ないことが考えられます。
流動食のメイバランス1.0,1.5の栄養素は素晴らしいですが、1食当たり多くても150Kcalです。
また、医療現場で流動食が使われる理由は「早く普通の食事に戻す」ためです。
高カロリーな流動食を食べても、普通の食事に戻らない限り体を作ることはできません。
しかし、体質やライフスタイルによって変わる部分があるので、流動食を食べているから必ず痩せるという訳ではありません。
流動食を食べて痩せる理由は、
*エネルギー量、栄養素が不足している
*そもそも流動食を食べる人の食欲低下
が考えられます。
流動食でやせる理由① エネルギー量、栄養素が足りない
厚生労働省が国民の健康の保持・増進、生活習、慣病の予防のためにまとめている「日本人の食事摂取基準」。
この中で65歳~74歳身体活動レベル1の人が、一日に推奨されている栄養素は以下の通りです。
上記の摂取推奨値を、流動食だけで満たそうとすると一体何食取らないといけないんだ!というレベルです。
活動レベルⅠでも上記数量なので、動ける人だと流動食だけで太るのは難しいと思われます。
若い人は更に摂取カロリーなどの数値が増えるので、流動食を多く食べない限り、シニアも若者もカロリーや糖質などは推奨量に届かないでしょう。
流動食でやせる理由② 流動食を食べる人の食欲が低下しているため
流動食を選択する人は、以下のような状況になっていると予想できます。
*食欲が低下している
*体調を崩してしまった
*噛む力・飲み込む力が低下している
*病気になってしまった
一般的に流動食は体調を崩したり、体が弱っている人が選択する食べ物です。
そのため、食欲が低下している人が多く、そういう人が量を多く食べるのは難しいと考えられます。
また、やせる理由①でも書きましたが、流動食だけでカロリーや糖質を満たそうとすると相当食べないと難しいです。
しかし、無料の介護相談を行っていると数は少ないですが「流動食を食べて太った気がする…」というお話を聞くこともあります。
流動食で太る理由を考えると以下のことが挙がります。
流動食で太る理由

では、逆に流動食を食べて太る理由はなんでしょうか。考えられる原因は、
*流動食の食べすぎ
*流動食以外でのエネルギー摂取
流動食で太る理由①流動食の食べすぎ
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると太る ―。もしくは糖質が太る原因になると言われています。
また。年を重ねると代謝も悪くなり脂肪を溜めやすくなることは知られています。
いくら流動食が1食当たり高カロリーでも一日三食、しっかり食べていても太りません。
太る理由としては、流動食の食べすぎが考えられます。
流動食で太る理由②流動食以外でのエネルギー摂取
食事が一日3回流動食だけの場合、食べすぎなければ活動レベルが落ちている人でも推奨摂取カロリーを上回ることは考えづらいでしょう。
しかし、もし、流動食以外―。例えば、甘い飲料水や、コーヒーやお茶に砂糖をいれている場合です。
流動食が太る直接の原因ではなく、それ以外の可能性も大いにありまえます。
まとめ
流動食を食べすぎなければ太ることはなく、むしろ食欲が低下していると痩せていく恐れがあります。
体調を崩している人や介護などで流動食を使用している人は、痩せていかないように体調管理に気をつけることが大切です。
流動食だけではなく、介護食の「かまなくてよい」区分の物を使っていくといいでしょう。