介護をするとき、介護される側が難聴の場合意思の疎通がしづらい・誤解されやすいなどコミュニケーションに問題が起こることがあります。
介護をするのであれば、介護する側も介護される側も気持ちよく行いたいもの。
今回の記事では難聴の方を介護する場合、気を付けておくべきポイントについてご紹介します。

今回の作者 sacchanさん
子供の頃の病気により右耳が全く聞こえなくなってしまったsacchanさん。看護師として勤務しながら難聴の方の助けになりたいと体験談や仕事を通しての学びを共有頂きました。
介護をする人の難聴レベルを把握する
まずは接する相手の難聴度がどのくらいのレベルか聞き取る必要があります。耳が全く聞こえないのか、聴力が弱っているのか、両耳聞こえないのか、片耳だけが聴力が弱っているのか。
介護をする相手がどの位の聞こえレベルなのか知ることは大切です。
>難聴の親とのコミュニケーションで気をつけるポイント|高齢の母の難聴に気づいてからやっていること
人間は年を取ると聴力が下がる。75歳以上の7割が難聴

上の表の左側の聴力レベル25dB(デシベル)から難聴と言われています。この25dB~は軽度難聴と言われていますが、年齢で言うと60代前半で5人~10人が難聴。60代後半で3人に1人が難聴。75歳以上の7割が難聴と言われています。
長生きと聴力の低下は切っても切れない関係です。介護をする側としては難聴者とのコミュニケーションを学ぶことによってスムーズに介護が進むことがあります。
難聴の方が抱える問題
難聴の方を介護するときに一番気を付けなければならないことが”コミュニケーション”です。
難聴の方は普通に話しかけても気づかないことがあります。
さらに、こちらが話しかけていることに気づいても言葉の速さや大きさによっては聞こえない事も。
きちんと意思を確認できないまま介護を行うと、”思っていたことと違う””そんなこと頼んでない”とトラブルになりがちです。
そのため難聴の方とコミュニケーションをとるときはお互いが、はっきり意思を確認しあう必要があります。
難聴の方とコミュニケーションをとるときに気を付けることは、この3つのポイントです。
- こちらの伝えたいことをしっかりと伝える
- 相手の意思をしっかり確認する
- 聞き返されても否定しない
以下ではそのポイントについて説明していきます。
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難聴者とのコミュニケーションで気を付けるポイント

こちらの伝えたいことをしっかりと伝える。
まず介護を行うときは、”こちらが今から何をするのか”ということを知ってもらう必要があります。
相手のコミュニケーションという点では難聴者であろうとなかろうと気をつけるポイントは同じです。ただし、より丁寧に接することが求められます。特に気を付けるポイントは以下の5つ。
相手に話しかけていることを認知してもらう
前述の通り、難聴の方は何気なく話しかけても聞こえないため気づかないことがあります。
特に難聴の方の中には、話しかけられると”きちんと聞き取らないと”と緊張してしまう方もいらっしゃいますので介護を行うときにはまず、”今からあなたに話しかけますよ”ということを伝えましょう。
表情・目線
声をかけて話しかけていることを知ってもらったら、次は表情と目線に気を付けます。
難聴の方にとって表情や目線はメッセージの一部です。
笑顔で、相手の顔をしっかりと見て話しかけましょう。表情を豊かにして目線をしっかり向けることを意識しましょう。
声のトーン・速さ
難聴の方にとって高い声や早口で話される言葉は、聞き取りづらい言葉です。
また声の高さや速さに気を付けていても、声が大きすぎると聞こえづらいことがあります。
介護する側は日ごろからコミュニケーションをとるときに気を配り、介護される側にとって聞き取りやすい大きさで話しかけるといいでしょう。
目安としては普通の会話よりやや大きな声で、ゆっくり、はっきりした声で話しかけます。
ジェスチャー
会話にジェスチャーを取り入れると話している内容が補足され、相手に伝わりやすくなります。
要点に関してジェスチャーを取り入れることができればこちらの意思も理解してもらいやすくなるでしょう。
要点を抑えた声掛けをする
難聴の方にとって長時間話を聞き取ることや、あいまいな表現で話されるのは分かりづらくストレスになりがちです。
会話をするときは要点を押さえて、分かりやすく、簡潔に伝えてください。
会話の最初に一番大切なポイントを伝えておくと”今このことについて話しているんだ”ということが共有できるのでコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
これら5つのポイントがこちらの伝えたいことを理解してもらいやすいポイントです。
以下では相手の意思を確認するときに押さえておきたいポイントについて説明していきます。
相手の意思をしっかり確認する
こちらの伝えたいことがつたわっていても介護される側の気持ちが確認できていなければやはりトラブルのもとになってしまいます。
相手の意思を確認するときに気を付けておくべきポイントは以下の3つです。
イエスかノーで答えられる質問で意思の確認をする
ゆっくりと簡単にこちらの意思を伝え、それに関してイエスかノーで答えてもらうことで介護がスムーズに行えます。
例えば「トイレに 行きます。」と介護内容だけ伝えて介護するのでは、”行きたくないのにつれていかれた””無理やり行かされた”と思われてしまうケースもあります。
「トイレに 行きますか」とこれからすることを説明し、相手の意思をしっかり確認してから介護を行うとスムーズに介護ができるでしょう。
筆談する
こちらの意思が中々伝わらない、相手の意思も分からないと行き詰るようなときは筆談が効果的です。
文字にすることでお互いの考えが分かりやすくなります。
表情を観察する
こちらが言ったことがほとんど伝わってないとあいまいな表情をされていたり、こちらに興味がない様子が見られたりします。
こちらの伝えたことに対して、リアクションがあるか観察することが大切です。
聞き返されても否定しない
難聴の方は聞き取りが難しいため、こちらの伝えたことをしっかり把握するために何度も聞きなおすことがあります。
その時に”さっき言ったから!””ちゃんと聞いて!”と言われてしまうと、この人にはわかってもらえないと思われてしまいがち。
聞き返された時は、しっかりと理解していただけるよう”笑顔”で伝えなおすことで、良い関係が築けます。
難聴の方の特徴を理解し”気持ちのいい介護”を今回の記事では難聴の方を介護するうえで大切なコミュニケーションについて記事を書いてきました。
介護は直接その人のプライベート・生活を支えるもので、信頼関係が何よりも大切です。
コミュニケーションは信頼関係になくてはならない要素でどんなに良い介護をしようと思っていてもコミュニケーションに問題があるとうまくいきません。
お互いにしっかりコミュニケーションをとり、”気持ちのいい”介護を目指しましょう。
介護者の疲労とストレスをためないために
介護をしていると大変なことも多いと思います。
被介護者が難聴者である場合、普段の介護のストレスとなかなか言葉が伝わらないストレスが合わさり、健康被害がでることもあります。
介護者とのコミュニケーションは大切ですが、それ以上に介護をするひとの体調とメンタルも気を遣っていきましょう。